【アメリカの反DEI加速の背景】
アメリカでは第二次トランプ政権の始動後、DEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)の取り組みへの逆風が吹き荒れている。2023年の米連邦裁判所によるアファーマティブアクションの違憲判決、トランプ大統領の再就任を背景に、保守派のインフルエンサーからの反DEI攻撃や保守系シンクタンクからの反DEIを掲げた株主提案の影響が強まっている。これにより、民主党下で進んだリベラルなDEIの政策が次々と否定され、アメリカを代表するシリコンバレーのテック企業、大手金融機関、小売業等から次々とDEIポリシー、取り組みの撤回・縮小が発表され、従来とは真逆の方針転換に驚かされる。ようやく日本社会でも高まったDEIの気運、企業が推進してきた女性活躍推進にどう影響をもたらすのか危惧する人も多いのではないだろうか。
現在アメリカで起きているバックラッシュは、トランプ大統領就任以前から兆候はあったとも言える。ピュー・リサーチ・センターの2024年10月の調査によると、アメリカの労働者の「職場におけるDEIの取り組み」に対する否定的な意見が2023年2月調査より増加している。特に共和党支持者からは顕著な反対がみられ、また人種別ではDEIの恩恵を受けていない、不当な剥奪感を感じる白人男性が多いことが読み取れる。アメリカの逆風はDEI推進を「行き過ぎだ」と感じているマジョリティ層の不満が根底にあるようにも思える。
【DEIポリシーを堅持する企業と投資家の反応】
一方で、注目されるのがコストコやアップルのように、反DEIの流れに毅然とした対応をしている企業の動きだ。
例えば、この1月23日に開催されたコストコの年次総会では、同社のDEIプログラムを維持するリスクに関する報告書の提出を求める提案が、株主の98%以上の反対により否決された※1。この株主投票は企業のDEIプログラムに関する投資家の価値観を占う試金石になるとみられていたが、投資家の反DEI決議への支持の低い傾向は今のところ変わっていないように見受けられる。また、アップルの取締役会も多様性ポリシーの継続を宣言している。保守系シンクタンクは、アップルのDEIポリシーを取りやめるべきだという株主提案を提出していたが、アップルの取締役会は株主提案への反対を呼びかけ、2月25日の株主総会でも反対多数で否決された※2。
【日本企業はアメリカの反DEIの潮流にどう立ち向かうべきか?】
では、日本企業はどのようなスタンスをとるべきなのだろうか?
そもそも欧米に比べると日本のDEIの取り組みは緒についたばかりである。女性活躍推進に取り組む企業は多いが、十分な成果をあげているとは言い難く、現にWEFの2024年のジェンダーギャップ指数ランキングの中でも経済部門では、146か国中の日本は120位、アメリカは22位と圧倒的な差がある。成果を得る前に立ち止まる合理性はない。
また日本は人的資本経営やガバナンスの観点での議論を始めたばかりであり、女性やマイノリティを含む全ての人の人権尊重やハラスメントの根絶に基盤を置き、組織能力向上やサステナブルな成長を可能にするDEIの役割がこれから益々重要になっている。
多様性には「分断」につながる要素が内包されている。インクルージョンの伴わない多様性の世界では「分断」が顕在化しやすい。だからこそ、インクルージョンの醸成を重視した制度や組織風土の改革が重要となる。翻って、日本企業はDEIと銘打ちつつも、取り組みの実状はダイバーシティに関するものが中心でインクルージョンの実現に向けた具体的な取り組みができていない企業も多いのではないだろうか。次回はこのような時期だからこそ、その実現に重要な「インクルージョン」について触れていきたいと思う。
出所:※1 - REUTERS ※2 – 日経新聞
日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト『ジェンダーギャップ会議』で講演を行いました。
今回は日本橋三井ホールでたくさんのカメラの前で、無観客でのライブ配信ということでいつもとは違った緊張感を感じながらの講演でした。
ジェンダー主流化とは政治、経済、社会の全ての重要なアジェンダにジェンダーの視点を取り入れていくという考え方で、G20首脳レベルでは2018年の首脳宣言で取り入れられました。企業の重要な意思決定・戦略的課題を考える際にもジェンダーの視点を必ず入れることが重要と言えます。
SDGs#5として位置づけられているジェンダー平等ですが、ジェンダー平等の実現は全てのSDGsに貢献すると思っています(故吉田晴乃さんのメッセージ)。
ジェンダー主流化という世界潮流の中で立ち上がったEMPOWERはビジネスセクターにおいて主要な役割を担う女性、意思決定層における女性の参画とエンパワーメントを加速化するための民間ビジネスセクターの国際アライアンスです。G20大阪サミットでEMPOWERの立ち上げが合意され、G20首脳に対して提言を実施していくという役割も担っています。
参画していただているビジネス自らが実行に重きを置き、意思決定層への女性の参画とそれに至るパイプラインの育成についてEMPOWERで議論、提案しています。
ダイバーシティとインクルージョンの推進の中でも戦略的フォーカスとして、単なる両立施策ではなく、女性のエンパワーメントが今後の課題だと思います。その一つとして、無意識の偏見が悪影響を及ぼさないような育成・評価の「仕組み化」が、今後の日本ビジネスセクターにおけるジェンダー平等進展へとつながると思っています。
総合的な官民を捲き込んだ取り組みとして様々な施策に取り組んでいきます。
多様な人、あらゆるジェンダーの人がオーセンティックなありのままの自分の価値を最大限発揮し、組織や社会に貢献ができることが、新しい成長のカタチを創っていくことになると思います。
講演の内容は下記よりご覧いただけます。
https://channel.nikkei.co.jp/e/gendargap202011
200名のパワーを感じました!
7月2日20時から、第1回吉田晴乃記念「私たちの新しい成長のカタチ」 -価値の循環「おかねまわし」-イベントをオンラインで開催しました。2-3日ぐずついていた空模様も、2日は朝から快晴!晴乃さんが、私がついているイベントだもの…傷ひとつないピカピカのものにするわよ!と言ってくれているようでした。
私を含む15人の発起人がオンラインで初めて一堂に会したのは、実は緊急事態宣言下のゴールデンウィーク前。それぞれが晴乃さんと何らかの接点を持つ中で、吉田晴乃さんからのメッセージを受け取ったと感じていた私たちは、そのメッセージを一人ひとりの心に刻むのみならず、もっと多くの人たちとつながって経済を、ビジネスを回す原動力、社会づくりにすることができれば、とても大きな力になるのではないか、そんな想いを共有して、今回のオンラインイベントを企画しました。
0時にスタートしたイベントは、オープニングにちょうど1年前の吉田晴乃さんのビデオメッセージを皮切りに、日英米から参加した6名のリレースピーカーによるスピーチで始まりました。その時点で、Zoom上の参加者数は223名!私たちは、リレースピーカーそれぞれが生前の晴乃さんから受け取ったというメッセージをしっかりと受け止めた上で、5つのテーマ別分科会へと散りました。
今回設置した分科会は5つ:
A. “対極を作らない働き方〜しなやかに、したたかに、優雅に”(女性ボードメンバーを増やそう分科会)
B. “あなた自身の価値に気づいて”(女性起業家分科会)
C. “世界を変えようと思ったら、まず自分が変わらなくちゃ”(女性首長と地域活性分科会)
D. “一体あなたはどう生きたいの?5年後の社会を創るのはあなたよ”(女性ヤングリーダー分科会)
E. “女性が正しいお金の流れを作る”(エシカル消費という投資で世界を変える分科会)
“・・・”のなかは、全て生前の晴乃さんからのメッセージです。
私自身は、分科会Dで学生さんをはじめとする若い女性の皆さんとの討議に参加しました。若い女性の皆さんの中に、自分らしい価値を発揮していく上できらりと光る原石のようなものがあるように感じました。自分ですべてを抱え込む必要はなく、周りの人とキャッチボールをしながら、皆さんの原石を磨いていってほしいなと思いました。
あっという間の60分間の分科会を終え、全体会にまた200名以上の方が戻ってきました。5つの分科会それぞれに濃密な議論があったようです。全く時間が足りなかった!という声もありました。そんな分科会においては、今後のスピンオフ企画にも期待したいと思います。
今回、私たち発起人は、2025年の大阪Women’s EXPOを通過目標としながら、自らがステークホルダーとして行動を起こしていこうとする大きなうねりのようなものを感じました。次回は来年2021年7月7日、七夕の夕べに再会です!
問1 なぜ今の仕事に?
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