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    対談サマリー「DEIをめぐる逆風:日本企業へのインサイト」
  • 2025/06/05(Thu) 最近のイベント

    【「DEIをめぐる逆風日本企業へのインサイト」の対談サマリー】

     2025516日にアキレス美知子氏と弊社塚原で「DEIをめぐる逆風 日本企業へのインサイト」と題したオンライン対談を実施しました。以下は対談のサマリーです。

     まずトランプ政権下で出された大統領令がDE&Iに与えている影響について、行政機関や連邦政府の調達契約におけるDE&I関連プログラムの見直しや制限に直面したアメリカの企業は、1)DE&Iポリシーごと廃止する、2)大幅に縮小する、3)表現をDEIからBelongingInclusionへと変更するがDEIの本質は継続するなど、いくつかの対応パターンが見られます。

    またDEIを重要視する大手企業の株主総会で反DE&Iの株主提案がどうなるか注目される中、アップルやディズニーなど、反対多数で存続が決まったケースもあり、株主の意向を踏まえて存続する企業もあります。

     次に、米国と日本のDE&Iに対する背景の違いについて、人口構成、労働生産性、人種の多様性などの違いから、DE&Iの重点や課題が異なります。米国ではマジョリティである白人層の一部からの反発や逆差別感情があるなど、人種や民族の多様性が重要課題である一方、日本では少子高齢化による労働力不足が深刻であり、女性活躍推進が進まない現状も踏まえて、企業の成長にはDE&I推進が必然です。

    さらに、日本の国際的競争力の凋落、特にビジネス効率性と経営プラクティス(ダイバーシティに関する指標を含む)の評価が低く、全体的なランキングの足を引っ張っています。人材の競争力ランキングの低下も課題として挙げられます。女性活躍推進法が施行されて10年近く経つにも関わらず、あまり改善されていない現状も憂慮されます。

     米国の事例を踏まえ、今後日本企業がDE&Iをどのように捉え、どのように対応すべきでしょうか。DEIで先行する米国ではより戻しが起きている一方、日本ではまだDE&Iが十分に進んでいないため、まずは今以上の成果を出すことが重要です。加えて、どのような組織をつくりたいのかを議論し、その中にDEIがどのように組み込まれるのかを明確に示す良い機会です。

     企業が直面する不透明な環境下においてDE&Iを推進するための重要なポイントとして、次の点があげられます。1)論理的な説明やデータに基づいた判断と意思決定、2)テクノロジーを活用した人材管理、透明性の高い評価システムとコミュニケーション、3)SNSでの攻撃や炎上のリスクを考慮し、施策の名称や表現など工夫、そして、4)社長はもちろん経営陣全員がDE&Iの重要性を理解し、信念を持って推進することが不可欠。

     最後に、DE&Iは目的ではなく、ありたい姿があってこそ意味を持ちます。アメリカの状況を注視しつつ、日本企業はこの機会を前向きに捉え、持続可能な成長を達成するために、ぶれずにDE&Iを推進していくことを期待します。


  • 動画配信:「DEIをめぐる逆風:日本企業へのインサイト」
  • 2025/05/29(Thu) 最近のイベント
    去る5月16日にアキレス美知子氏と弊社塚原で「DEIをめぐる逆風:日本企業へのインサイト」と題して、米国における昨今の反DEIの潮流に、米国企業の動き、DEIを推進してきた日本企業の立場としてどう受け止めれば良いのか、オンライン対談を実施しました。
    当日は70名弱がリアルタイムで参加され、反DEIの潮流というトピックに関するみなさまの関心の高さを改めて実感いたしました。
    対談ではさまざまなデータファクトも紹介しながら、そもそものDEI推進の前提となる日本とアメリカの立ち位置の違い、日本における女性活躍推進の現在地と国際的評価、 日本企業にとってDEIはサステナブルな成長、競争力強化のための手段であることなどを議論しました。

    動画は6月25日まで視聴可能ですので、見逃した方はぜひご覧下さい!
    (トップページのバナーからもクリックしてみていただけます)

    https://youtu.be/gjvtl6Ui9Fc?si=K0HabR27zo_veCcW

  • 東京大学にて、D&I研修を実施しました
  • 2025/04/02(Wed) 最近のイベント

    202534日、東京大学において、役員・部局長の方々約40名に参加頂き、「多様性と包摂性への理解深化・定着促進」の研修を行いました。東京大学ではD&Iに関する研修を継続して行っており、カレイディスト代表取締役社長兼CEOの塚原月子が昨年に引き続き講師を担当しました。

    冒頭、藤井輝夫総長より、多様性と包摂性は、東京大学のビジョンであるU Tokyo Compassの真ん中にある重要な取り組みであることが述べられました。参加者の皆さまは、職場として、また学びや研究の場として社会にも大きな影響力を持つ東京大学のD&Iの推進やその阻害要因等について、講義に加えてグループ討議や演習などを通じて自らの経験も踏まえながら熱心に向き合ってくださいました。

     

    U Tokyo ダイバーシティインクルージョン

  • リクルートエージェント Diversity Leaders Meetupに弊社代表取締役兼CEOの塚原とCOOの二木が登壇いたしました
  • 2025/03/17(Mon) 最近のイベント

    東京にて2日間、名古屋1日、大阪1日で開催され、各地で企業のDEI推進を担当される方々が、計80社より、計123名が参加されました。まず、基調講演では、多くの企業が直面しがちな悩み・課題を念頭に、DE&Iコンサルティングの経験に基づく考え方、成功につながりやすい取り組みプロセス、様々な事例などを取り上げました。その後、参加者による企業横断でのグループディスカッションにリクルート社員の皆さまやカレイディストの塚原・二木も参加させて頂き、更に懇親会ではより突っ込んだ情報交換なども行われ、多くの参加者より大変ご満足のお声をいただきました。

  • 国際女性デーに寄せて:『第二次トランプ政権の反DEIの潮流、企業はインクルージョンから排除に向かうのか?』
  • 2025/03/08(Sat) ブログ
    皆様、こんにちは。
    今日3月8日は「国際女性デー(IWD)」です。女性自身のエンカレッジに留まらず、取り巻くマジョリティの男性リーダーにも女性活躍の真の意義を考えていただける一日にしていきたいですね。
    このブログでは、プロの目を通じて見たDEIの様々なトピックについての考察を月1回お届けしていきたいと考えています。今回は、年明けから様々な報道を目にするようになったアメリカの反DEIの潮流について、取り上げてみたいと思います。
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    『第二次トランプ政権の反DEIの潮流、企業はインクルージョンから排除に向かうのか?』

       【アメリカの反DEI加速の背景

    アメリカでは第二次トランプ政権の始動後、DEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)の取り組みへの逆風が吹き荒れている。2023年の米連邦裁判所によるアファーマティブアクションの違憲判決、トランプ大統領の再就任を背景に、保守派のインフルエンサーからの反DEI攻撃や保守系シンクタンクからの反DEIを掲げた株主提案の影響が強まっている。これにより、民主党下で進んだリベラルなDEIの政策が次々と否定され、アメリカを代表するシリコンバレーのテック企業、大手金融機関、小売業等から次々とDEIポリシー、取り組みの撤回・縮小が発表され、従来とは真逆の方針転換に驚かされる。ようやく日本社会でも高まったDEIの気運、企業が推進してきた女性活躍推進にどう影響をもたらすのか危惧する人も多いのではないだろうか。

    現在アメリカで起きているバックラッシュは、トランプ大統領就任以前から兆候はあったとも言える。ピュー・リサーチ・センターの2024年10月の調査によると、アメリカの労働者の「職場におけるDEIの取り組み」に対する否定的な意見が2023年2月調査より増加している。特に共和党支持者からは顕著な反対がみられ、また人種別ではDEIの恩恵を受けていない、不当な剥奪感を感じる白人男性が多いことが読み取れる。アメリカの逆風はDEI推進を「行き過ぎだ」と感じているマジョリティ層の不満が根底にあるようにも思える。

    DEIポリシーを堅持する企業と投資家の反応

    一方で、注目されるのがコストコやアップルのように、反DEIの流れに毅然とした対応をしている企業の動きだ。
    例えば、この1月23日に開催されたコストコの年次総会では、同社のDEIプログラムを維持するリスクに関する報告書の提出を求める提案が、株主の98%以上の反対により否決された※1この株主投票は企業のDEIプログラムに関する投資家の価値観を占う試金石になるとみられていたが、投資家の反DEI決議への支持の低い傾向は今のところ変わっていないように見受けられる。また、アップルの取締役会も多様性ポリシーの継続を宣言している。保守系シンクタンクは、アップルのDEIポリシーを取りやめるべきだという株主提案を提出していが、アップル取締役会は株主提案への反対を呼びかけ、2月25日の株主総会でも反対多数で否決された※2

    日本企業はアメリカの反DEIの潮流にどう立ち向かうべきか?

    では、日本企業はどのようなスタンスをとるべきなのだろうか?
    そもそも欧米に比べると日本のDEIの取り組みは緒についたばかりである。女性活躍推進に取り組む企業は多いが、十分な成果をあげているとは言い難く、現にWEFの2024年のジェンダーギャップ指数ランキングの中でも経済部門では、146か国中の日本は120位、アメリカは22位と圧倒的な差がある。成果を得る前に立ち止まる合理性はない。

    また日本は人的資本経営やガバナンスの観点での議論を始めたばかりであり、女性やマイノリティを含む全ての人の人権尊重やハラスメントの根絶に基盤を置き、組織能力向上やサステナブルな成長を可能にするDEIの役割がこれから益々重要になっている。

    多様性には「分断」につながる要素が内包されている。インクルージョンの伴わない多様性の世界では「分断」が顕在化しやすい。だからこそ、インクルージョンの醸成を重視した制度や組織風土の改革が重要となる。翻って、日本企業はDEIと銘打ちつつも、取り組みの実状はダイバーシティに関するものが中心でインクルージョンの実現に向けた具体的な取り組みができていない企業も多いのではないだろうか。
    次回はこのような時期だからこそ、その実現に重要な「インクルージョン」について触れていきたいと思う。

    出所
    :※1 - REUTERS  ※2 – 日経新聞

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